成人の食物アレルギー

私たちの体には細菌やウイルスなどから体を守る免疫という働きがあり、この免疫が、本来は無害な食物に対して過敏に反応し、体に有害な症状が起きることを食物アレルギーといいます。

成人になってから発症する食物アレルギーには、食べることによっておこるものと、皮膚や粘膜のアレルギーから始まるものがあります。

食べることによっておこる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」

原因となる食物は小麦が6割、カニやエビなどの甲殻類が3割です。「食べただけ」または「運動しただけ」では発症しません。食後に運動が加わるとアナフィラキシー(全身に急性のアレルギー症状が出ること)が起こるアレルギーの一種です。

激しい運動が引き金となる場合が多いのですが、散歩など軽い運動でも誘発されることがあります。症状は全身のじんましん、むくみ、赤みなどの皮膚症状、ゼーゼーする、息が苦しくなる等の呼吸器症状が主なものです。そして、およそ5割のケースでショック症状を引き起こす危険性があります。

皮膚や粘膜のアレルギーから始まる「口腔アレルギー症候群」

成人に最も多い果物・野菜アレルギーは果物や野菜を日常的に食べているから発症するわけではなく、原因は花粉症にあります。食物を食べた後、かゆみやヒリヒリした痛みが口内にだけ起こります。花粉症になったあと発症することが多く、気道を経由して起こる食物アレルギーだと考えられています。大人に多くみられ、食後5分以内に発症します。

主な花粉と交差反応性が報告されている果物や野菜は下記のとおりです。(これらは一例です。居住地域に飛散する花粉の種類によって変わる可能性があります。)

花粉 果物・野菜
シラカンバ リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、アーモンド、セロリ、ニンジン、ポテト、キウイ、ヘーゼルナッツ、マンゴーなど
スギ トマト
ヨモギ セロリ、ニンジン、マンゴーなど
イネ科 メロン、スイカ、トマト、ポテト、キウイ、オレンジ、ピーナッツなど
ブタクサ メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ、バナナなど
プラタナス ヘーゼルナッツ、リンゴ、レタス、トウモロコシ、ピーナッツなど

食物アレルギーを完治させる薬や方法はまだありません。症状や疑われる食物がある場合、専門医による食物アレルギー診断を受けることをおすすめします。