カリウム、カルシウム、マグネシウムと血圧

 食塩とその主成分であるナトリウム血圧を上げますが、カリウムやカルシウム、マグネシウムといったナトリウム以外のミネラルは血圧にいいことが分かってきました。多くの研究でこれらの不足は高血圧に関係し、摂取増加により血圧は下がることが示されています。また、多く摂ることにより循環器病の予防効果も期待できます。

 カリウムは野菜や果物、ナッツなどに多く含まれています。高血圧の人を対象とした研究で、カリウムを多く摂れば血圧が4/2mmHgほど下がることが認められています。筆者の家庭血圧や24時間血圧を用いた研究でも同様でした。血圧を下げる主な機序は、腎臓からのナトリウム排泄です。カリウム摂取は大部分の高血圧の人に勧められますが、腎不全の方では血液のカリウムが異常に高くなることがありますので注意を要します。

 カルシウムは乳製品や骨ごとの魚などに多く含まれます。多く摂ることにより、カリウムほどではありませんが血圧は下がります(高血圧の人で2/1mmHg程度)。カルシウムによる降圧の主な機序も、腎臓からのナトリウム排泄増加です。腎不全の人も多く摂ることに問題はありません。カルシウム摂取は、骨粗鬆症の予防の面からも推奨されます。

 マグネシウムを多く含む食品は、カリウムとほぼ同様です。便秘の人への下剤として用いられることもあります。多く摂ることによる血圧低下はカリウムより弱く、カルシウムと同程度です。降圧の主な機序は血管拡張です。腎不全の人は、摂りすぎに注意を要します。

河野 雄平
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授
日本高血圧学会 名誉会員/減塩委員会 前委員長
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」策定検討会構成員