冬のヒートショック

 ヒートショックとは、入浴時の温度変化で血圧が大きく変動することなどが原因でおこる健康障害です。脱衣所や浴室の温度が低いと入浴前から血圧が上がり、熱い風呂に入るとさらに上がります。入浴中は血圧はだんだん下がり、入浴後はさらに下がります。

 若くて健康な人は入浴が問題になることはありませんが、高齢の方循環器病の人では、入浴が突然死をもたらすこともありますので注意を要します。日本は入浴事故が多く、とくに冬に多発しています。ヒートショックを予防するには、脱衣所や浴室を暖かくしておくことをお勧めします。また、あまり熱い風呂や長風呂は避けるほうがよいでしょう。

 食はヒートショックとは関係なさそうですが、無関係というわけではありません。食後は血圧はいくらか下がることが多く、自律神経に異常がある人動脈硬化が強い人では大きく下がる場合があります(食後低血圧)。また、飲酒後も血圧は下がります。これらが入浴後の血圧低下と重なれば、ヒートショックのリスクが高くなるでしょう。入浴は食事や飲酒の前か時間をおいてからにすること風呂上がりはゆっくり立ち上がることも、守っていただきたいポイントです。

河野 雄平
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授
日本高血圧学会 名誉会員/前減塩委員会委員長