コーヒー、茶、ココア(チョコレート)と健康
コーヒーや茶、ココアに含まれるカフェインは、中枢神経や交感神経を興奮させるように働き、覚醒作用や利尿作用などがあります。また、交感神経は心臓や血管にはたらき、コーヒーなどを飲んだ後は血圧が上がり、脈拍が増えます。しかし、これらの変化は小さく、長く続くことはありません。
コーヒーにはクロロゲン酸などの、茶にはカテキンなど、ココアにはプロシアニディンなどのポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用があり、動脈硬化の予防効果が期待できます。これらの飲料を習慣的に摂取することについては、血圧への悪影響はほとんどなく、茶やココアには軽度の降圧効果が認められています。また、血管の機能がよくなることや、心筋梗塞や脳梗塞が少ないこと、糖尿病の予防効果などが報告されています。したがって、あまり大量の摂取は問題かと思いますが、常識的な量(1日数杯まで)では健康への悪影響はなく、循環器病については好影響があると考えられます。
河野 雄平
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授
日本高血圧学会 名誉会員/減塩委員会 前委員長
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」策定検討会構成員